CANTATE DOMINO
… by K.I.
「クリスマスの合唱曲なんて・・」という偏見を砕く演奏
巷のクリスマス企画ものが陳腐に見えてしまう、文句なしの頂点!
12月になると、街中にはクリスマスの飾りつけが増えて、デパートはプレゼントで一儲け。レコード会社も一儲け。商売するにはもってこいな時節です。
ところで私は、この演奏をクリスマス向けの企画ものとして紹介するつもりはありません。
確かに内容は、キリスト教徒がクリスマスを祝うための真面目な音楽ばかりです。合唱と、パイプオルガンと、金管楽器が少し。構成はこれだけ。とても質素。歌詞もキリスト教徒にしか通じない。クリスマスの雰囲気が好きで、どっぷり漬かりたい人には、これ以上ない絶品もの。
にしても、音楽性が高い。
もし、ゴスペルや、女性ボーカル、オペラのアリアなどが好き、でも合唱のCDは持っていない、という人は、“買うべき”でしょう。
合唱は、実際にやるとなると思ったより難しいものです。違うパートの旋律を聴きながら自分のパートを歌うというバランスを保ちつつも意識過剰にならず、歌そのものと指揮に集中しなければならない。しかも音楽を楽しみながら。譜面が読めない素人が合唱を本気でやるのは、ほんとに難しい。カラオケで主旋律に平気で『はもり』をつけて唄っている人がいたら、それはよほど影でその曲を練習した人か、でなければ子供の頃に音楽経験がある人か、どちらかです。地味〜な基本的反復練習なしに、合唱(音楽)はできません。(これはスポーツも同じです)
だから、この演奏のように人の心を動かすような優れた演奏に出会ったときに、拍手を送るのは、聴く側の義務です。スポーツで優れたプレイに遭遇した瞬間も、同じです。聴く(見る)側にいるとき、私達は、彼ら(演奏者・選手)よりも一段高い位置にいるわけではない。
圧倒的なリマスターの技術!が、録音があまりに良すぎるため…
この演奏はオーディオファンに評価が高いとか。確かに、いい録音です。(1976年録音・1993年リマスター)
輸入盤には、教会などの広い場所で録音されたクラシック系の、録音の優秀なものが多いのですが、この録音もそうです。
構成がシンプルなので、パイプオルガンや金管楽器、ボーカルがホールに反響する余韻が、気持ちよくたっぷり、深く伸びて、空間に消えていく様、空気の揺れが、よく録音されています。
ただ、あえていうとすれば、録音があまりに良すぎるために、オーディオシステムのバランスが不十分な状態でも、そこそこ“いい音”を出してしまうんです。『ムラマサ』を調整している私の経験からすると、この演奏、間違いなく、オーディオにとって、簡単なようで、実は録音の真価を引き出すことがとても難しいもののひとつです。
※1 『カンターテ・ドミノ』はアートクルーで
試聴・購入可能です。(2002/12/14現在、amazon.co.jpでは在庫切れの模様。)
… by 管理人