「村正試作1号」製作記
… by K.I.
村正脱皮編〜
U ハイエンド機器の嫌味と真正・村正試作1号の嫌味 ●2
Weiss Enjineering MEDEA

画像:http://www.weiss.ch/より引用
BYBA PASSION △Integre LDT×Weiss Enjineering MEDEA×真正・村正(自宅にて)
Weiss Enjineering MEDEAは管理人さんが紹介していた、あのDAコンバーター※1。これを試聴できるとは、村正も運がいい。
いや、ちょっと待て。アートクルーで、YBAのアンプを試聴のために梱包してもらっていたとき、なにげにMEDEAをそそくさと梱包していたのは・・・
M氏。
確かにわたしは、YBAのそばにMEDEAがあったから、なにか言ったかも知れない。でもそれは日本人特有の相槌というもので・・・(この問題に関してY氏や管理人さんが裏で絡んでなかった、ということは管理人さんの証言によってあきらかです。)
教訓:アートクルーの鉄則・・・M氏に冗談は、通じない。
YBAは、DAコンバーターを使わない(VRDS50に内蔵されているDAコンバーターを使用している)わたしの現システムにおいて、まるでまともなコンバーターを挟んだのかと思うくらい、豊かな音を出す実力がありました。VRDS50との相性は悪くなさそうです。
もしこれにDAコンバーターを使用したら、どう変化するか、テスト※2しました。
…このコンビ、史上最悪でした。
何が最悪?・・・決まってます。
“セットで”欲しくなってしまうからです。
暖かくしなやかで弾力的。
オーケストラは深いホールで広々と鳴り響き、その音の広がりはスピーカーの存在を超えてしまいます。
弦楽器独奏では濡れた艶が絶品。
ボーカルは軽く適度な湿気と艶があり、暖かい人の声です。
TERAは余韻や間接音をうまく出すアンプだと思いますが、YBAも同様の強みを持っている上に、MEDEAが更に上乗せ。
このコンビはいわゆるオーディオ的な味付けがはっきりしているのに、その程度が絶妙、なんです。もとの楽器本来の音色や人の声を、必要以上に脚色はしない。しないけれど、そこに心地よさを加える“さじ加減”は、超一流の料理人のそれ。
私はオーディオに関して高級グルメ志向ではなくてあくまでも“実質志向”ですが、このコンビのさりげない質の表現には感心しました。
このコンビを同じ土俵で上回ることは、果たしてほかの高級システムで可能なのか?
私は、それは相当に難しい、と感じました。単純な体力勝負や分析力なら、自信のあるコンビはほかにいくらでもいるはずです。
でも現実にこのコンビと競うなら、それは感性の領域での勝負になってしまうからです。単に「ハイファイである」「次世代フォーマットに対応」「ドラムがドスンとくる」とかいう土俵ではないんです。
「結局、毎日食べたくなるのは、どっち?」という勝負。
基本的に全ジャンルの音楽に対応できると思います。
特にクラシックに関していえば、室内楽や古楽、独奏ものではこのコンビ、敵なしで
しょう。バッハに凝っている方などには最適です。
また、オーケストラではアンサンブルの描き分けと全体のバランス、雰囲気の良さはさすが、ハイエンド。クラシックを聴くときにいちいち楽譜と演奏をつきあわせながら、「ここの解釈がこう違う」など専門的な枝葉にこだわるマニアな人(実際にいるんです!)には向きません。音楽を分析、批評するために聴くのでなく情で受けとめる人に向いてます。
MEDEAの生み出す音場は究極の自然な音場。自然に、広い。あざとさが皆無。
村正は見ての通り、ホーンを使用したシステムだから、音場の再生、定位感の獲得にはひと苦労しました。それでも、ホーンはホーン。それが、そういう先入観が、まるで通じない。村正は指向性が強い(最適な聴取位置が狭い)スピーカーなのに、「おいおい、これはありえんだろう」と笑うくらい、広がる、広がる。
また、このコンバーターの最大の特徴は、システムの音に、無用な色を加えない、ということ。
これは、驚くべき現象です。
オーディオ機器は、どこをいじっても、音が変わる。これは、わたしが村正のチューンニング、セッティングで体験した事実です。MEDEAも例外ではありません。
MEDEAが変えているのは、基本性能。つまり、音の信号が違う種類のものに変換される過程に関して、オーディオシステムに要求される基本性能を大幅に引き上げている(=信号の変換によって生じるロスを大幅に減らしている)のでは、と思います。だから、ほかの機器の特徴を、邪魔しない。「どうだ、これがコンバーターの威力だ、まいったか」という傲慢さが皆無。YBAの良さを一切殺していない。TERAと組んでも、TERAの音質はそのままに、システムの性能だけを大きく引き上げていました。システムに対する影響の大きさでは、YBA以上。
体感する効果としては、先に書いた音場の広がりのほかに、オーディオで犠牲になりがちな“響き”“間接音”といった要素。だから直接音の通りが、とても良くなる印象。
これは、たいしたコンバーターです。まさに、笑うしかないコンバーター。
個人的には、現時点で最高峰だと思います。余計なことをせず、かつ最高の仕事をこの価格でする、という意味で。コンバーターをつけたら、アンプやシステムの特徴が全部そのコンバーターの影響力に負けてしまった、なんて、笑えません。でもこれなら、安心して笑えます。
思うに、コンバーターは、近年ようやく一般的になりつつある部品です。今までは「コンバーターは100万円を軽く超えて一人前」という世界だったのかも知れませんが、もはやそうした基準は、このような優れた製品の登場によって過去のものになるでしょう。個人的には、これくらいの性能であっても、将来の市場価格としては、20〜30万円以下にはなって欲しい、と思います。だって、部品ですから。(本気です。)
C真正・村正の嫌味
鋭い反応はあいかわらずでした。でも、YBAとMEDEAのコンビをしっかりサポートするあたり、かなりいやらしい。
もしそうではなく、質の高いアンプとでは分不相応で、もったいない、と感じるようだったら、そこで妥協できます。
でもこれだけ反応するのなら、ちょっと、欲張りたくなってしまいます。食欲が、底なし。それが、嫌味です。もし村正の製造原価より高い価格のスピーカーを聴いている人がその原価を知ったら、村正は猛烈に嫉妬されるかも知れない。わたしの思い入れではなく、今回客観的に試聴してみて、音質と可能性において評価が上がってしまった。なんと、嫌味な・・・
DTERAとYBA PASSION △Integre LDT
私が使用しているTERAは、現行のバージョンからすると、クライオ処理をしていない旧バージョンですから、その分はハンディとして見なければいけません。クライオ処理によって高域の質感と低域の余裕が増すことははっきり確認しています。
それがわかった上での、今使用しているTERAと、YBAの差がどれほどのものなのか。これは私にとって興味を引く比較です。大雑把にいえば、価格が倍も違うからです。
厳密に比較すると、弦楽器の質感では、YBAのやや抑え目で弦の質感をうまく出す表現はかなり美味しい。TERAはもっとストレート。一方金管群では、YBAはMEDEAとのコンビでもやや控えめ。響きは保っています。一方TERAは微妙ですがやや活発。低域はYBAは欲張らないけど余裕。TERAはやはりバージョンアップしてレンジを拡大したいところです。全体としては、YBAの表現はよりオーディオ的で、その意味で美味しい、というところ。
さて問題は、この、はっきりわかるけど微妙とも言える差を、どう評価するか、です。
50万円の差と見ればTERAのコスト・パフォーマンスに不満はないでしょう。実際、強力コンビの試聴を終え、元の組み合わせに戻った今でも、思ったより普通に聴けます。でも、YBAの質の高さは捨てがたい。パワーアンプなしでも、ドライブ能力があるから、パワーアンプはいらない、と見れば、これもコスト・パフォーマンスの高さは恐ろしい。この比較、安易に結論を出すべきではなさそうです。オーディオにおいて『予算』『価格差を含めた評価』は、決して無視できないからです。また、今回の試聴で村正にBIGを使用しなかったことも、微妙です。BIGを使用したときの表現は現在のそれとは全く異質だからです。
ここでまたM氏の話に戻るんですが、TERAの特徴からするとパワーアンプとしても魅力なのではないか、とのたまう。(TERAにはTERA・パワーというボリウム付きパワーアンプもあります)
実は村正が現在のように鋭い反応を示すようになった直接のきっかけは、ネットワークを外に出したことと、バイ・ワイアー接続に変えたこと、でした。
そこでM氏の口から語られたのは、身の毛もよだつ、恐るべき、村正のバイ・アンプ駆動計画!・・・そんなの、予算に余裕のあるオーディオマニアのやることじゃないですか・・・いや、もし村正にそんな武器を与えてしまったら・・・確か、YBAにはプリアンプもあったはず・・・
M氏、実は快調?
しばらく、睡眠薬でも飲ませた方が良さそうです。(続)
※1 DAコンバーターは、CDから読み取ったデジタル信号をアナログ信号に変換する必需部品で、いわゆる“CDプレイヤー”とはDAコンバーターを 内蔵しているもの。内蔵していないものが“CDトランスポート”と呼ばれます。トランスポートから出力されるデジタル信号は、デジタルケーブルを通してDAコンバーターに入力され、出力される信号はアナログケーブルによってアンプに入力されます。
※2 今回、管理人さんからお借りしたオデオンAGも試聴しましたが、充分温まってなかったようで、今回は論評からははずします。
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