「村正試作1号」製作記
… by K.I.

これまでのまとめ編〜W ローゼンクランツ ●1

やっと、ローゼンクランツ(インシュレーター)について書くところまでたどり着きました。
なぜ今までこれをきちんと書かなかったかというと、TERAと同じで、ひとつの章として取り上げないと、単に製品の評価だけでは終わらなくなることがわかっていたからです。
でもまずは、村正とローゼンクランツのインシュレーターについて、振り返ってみます。

ダディ


画像:http://www.rosenkranz-jp.com/より引用

わたしがダディを村正に導入することに決めたのはもちろん試聴の結果なのですけど、正確には、ちょうどそのとき『松岡式カーボンベース』の導入も検討していて、このふたつは私にとって“ふたつでひとつ”のチューニング製品でした。
導入の目的は、初期の村正に決定的に欠けていた“音の伸びやかさ”を獲得するため。導入によって、全帯域に渡って改善効果が期待できる、と信じていました。なぜなら、その前にアートクルーで命名前の初期村正を試聴したときに、すでにローゼンクランツのインシュレーターとの相性の良さは実証済みだったからです。
松岡式ベースについては、(スピーカーによっては)ローゼンクランツのこのクラス(サイズ)のインシュレーターとの相性の良さは、実際に試聴した人にしか伝わらないでしょうけど、信じられないほどの改善効果が出ます。特に私のように音の伸びやかさを欲する場合は。

自宅での試聴には、エアボウのカタログからヒントをもらって、タイタニックのサウンド・トラック盤を使用しました。
一曲目でいきなり再生が難しい最低域の音があり、2、3、5曲目では一気にいろんな音が爆発・交錯するような非常に厳しい瞬間があります。特に低域方向の再生に関しては、解像度、音階、音色の明快さ、音の分離、迫力、立ち上がり、いずれの要素にも全く気を抜けない録音です。ピアノなど単一の楽器の録音で試聴する方が、まだずっと楽です。特にオーケストラをうまく再生したい場合のチューニングソフトとしては、かなり役に立ちそうです。


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このソフトは露骨に効きました。ダディ使用と未使用とでは、複雑にからまるいろんな種類の音の分離、深さの表現の差があらわになります。いままで音の塊のようなものがスピーカーの間にへばりついていたのが、束縛から解放されて、自由に広がる印象。どんな音をどう録音したのか、目に見えるようでした。
しかも、独特の味があります。演奏を“ただのいい音”ではなく“音楽”として聴かせるようなレベルの高さ。中域の充実感もかなり効いています。

特筆されるのは、出てくる音のエネルギーの充実感です。柔らかく受けとめてまとめる、という方向ではなく、出たがっている音のエネルギーを邪魔せずに素直に出たい方向に出たいスピードでそのまま送り出す。反応が、素早いんです。しかも送り出す方向は正確。見晴らしがいい。だから、気持ちがいい。
しかも効果はそれだけではなくて、高域もすっきりと伸び、同様に音の粒までくっきり見えるようになりました。しかも、その粒が綺麗。

このインシュレーターの導入によって村正の表現力が大幅に格上げされたのは、ダディの能力からすれば当然の結果でした。
再生される音楽に、深み、品格を与える。
いや、正確にはそうではなくて、いい音楽が本来持っている質感、価値観がオーディオ機器によって阻害されるのを防ぐ。本来、この音楽が生まれたときには、こうであったのだと。

たかが、インシュレーター。されど。

スピーカーによってはダディを必要としないものも多いでしょう。しかし、わたしには、ダディがこう言っているように感じました。優れた製品だけが持つ、声なき声。

「わたしの感性が、見抜けるか?」

これは、TERAが発しているオーラと、同じものだ。そう、感じました。
ここまでくれば、もはや製品と呼ぶのは失礼。TERAと同様、これは、『作品』です。
つまり、『モノ』に、魂が入っている。でなければ、こんな音は出ないはずです。
(ちなみにダディは、TERAの脚としても活躍しています)

ビッグ


画像:http://www.rosenkranz-jp.com/より引用

ダディについては言葉で表現することができます。
でも、このビッグを、なんというべきでしょうか。
あえて表現するなら、

『ほかのものでは代わりを務めることができない』

これで、充分でしょう。
今はVRDS50の脚に使っていますが、一度だけ、村正の片側の脚として使用したときの音を聴いたことがありました。わざと、クラシックをかけて試してみました。その効果は・・・
まさに、禁断の音。嘘ではなく、わたしは、30秒もたたないうちにCDを止めて、あわててビッグをはずしました。そのまま聴いていたら、二度とはずせなくなるのは目に見えていたからです。

ところが、村正も真正・村正に進化してしまったいま、この試作品のチューニングの最終段階として、どうやらBIGを試す時がきてしまったようです。その結果は、後日改めて書くことにします。
わたしの勘では、たぶん、冗談では済まされないレベルに到達してしまう気がします。果たして・・・(続)