「村正試作1号」製作記
… by K.I.
システム構築編〜T ネットワーク改造 ●5
『振動』という要素の重大さ
ネットワークをウーハー箱の上に置いていたのを、あまりスピーカーの振動の影響を受けないように、床からも離れた台の上に置いてみたところ、音質が俄然良くなりました。
それで痛感したのは、オーディオにおいて、いかに『振動』という要素の影響が重大か、ということ。
それもありますが、それまで私は、振動に対して注意深く考える、ということは、ハイエンドといわれるような高級機を使用している人にだけあてはまる考え、あるいは、こだわり方が過剰な人に通用する考え、つまりメーカーやマニアには当然必要な考えだろう、と思っていたんです。ところが、それが完全に間違いであることがわかりました。日ごろから山本さんの、「オーディオはどこをいじっても音が変わる」という発言を聞いてはいましたが、これほどまでとは思わなかったし、自分のシステムでそれを実感することになるとは、思ってもみませんでした。
ということは、自覚しないうちに、『敏感な』システムを使っていた、ということです。いいかえれば、『可能性がある』システム、ということです。部分的な改良に、すぐ反応したわけですから。
ちなみにこの時点での構成は、プリメインアンプにエアボウのTERA、CDプレイヤにTEACのVRDS50、ケーブルにSAラボのハイエンドホース3.5、プラグ、インレットはAET、フルテック、TERAの電源BOX〜電源タップ間は逸品館オリジナル、電源タップは8年くらい前の、オーディオ売り場で買った安いもの(いちおうオーディオ用)。(ラックとスピーカーの設置は後で触れます。)
この時を境に、私は、振動に深く関わっている『設置』に関して、全面的に疑いの目を向けるようになりました。ほかにも見逃しているところがあるかもしれないし、知らないことが多いに違いない。・・・こうした考えは後日確実に、音質改善効果として自分自身にはねかえってくることになったので、私にとっては、アートクルーでの自作スピーカーの試聴とともに、最大の転換点となりました。
また、いたづらに機器を買い換えることによる効果を狙うよりも、こうした基本的な部分から原因と結果の関係を理解し、改善した方が、現有機器の実力をより多く引き出すことにもつながる。まだまだ、この自作スピーカーから出てくる再生音は、良くなるかもしれない。まだ確信と言えるほどではなかったものの、やるべき優先順位について、なんとなく見えてきたような実感がありました。
で、とりあえずネットワークはボードに固定しましたが、松岡さんの話では、ネットワーク全体を、エポキシ系の接着剤で固める方法も有効とか。。ちなみにエポキシ系とは、二種類の異なる素材を均等に混ぜ合わせて、強力な接着を可能にするもの。普段使うものではないし、また価格も性能に応じてそれなり。なので、「そこまでしなくても」という人が多いのではないでしょうか。私も以前はそうでしたが、もうこのときは違いました。「ひょっとしたら」「いや、ひょっとしなくても」・・・
早速、エポキシを発注。缶入りの、でかいやつ。簡単にボードに“壁”を作って、エポキシ注入。そのまま一晩、固まるのを待ちます。翌日・・・
「んー、やっぱり。」
やはり、やってみて正解でした。軽いチャラチャラした部分が消えて、中〜低域もしっかり。芯の有る音になりました。解像の良さは当然。うっかりやらなかったとしたら、危うく“損”するところでした。
『気づく』、『触発される』ということ
ところでアートクルーの優れたところは、こうした、エポキシなどの扱いについても、ちゃんと『知っている』ところ。
プロなら当然、といわれるかも知れませんが、たとえば、エポキシについては実際のところあまりよく知らない、扱ったこともない人が多い。そういう人は、価格を調べただけで、普通敬遠しがちでしょう。それが、アートクルーで話をすると、どう気を付けたらいいかなど、素人にもポイントがわかる。工作に不安な人も、安心です。加えて、結果にどう影響するのか、理論的にも、効果的にも『知っている』から、話に説得力と信憑性がある。
オーディオに関係する工作に詳しい人なら、気にもしない、「そんなの自分でやれば」と言うところでしょうけど、やったことのない、経験値のない人が、興味があるからやってみようかな、と思ったときに、アートクルーのような店が身近にあるか、それともネットや雑誌で聞きかじった『間接の』情報を鵜呑みに信じ込んでしまうか、この違いは意外と大きい、と思います。
いや、それより、そうしたプロショップと付き合うことによって、『気づく』、『触発される』ことの方が、大きな意味があるのではないでしょうか。(続)
注:
このシリーズを読んで、ここに書いてある通りのことをほかの人がやったとしても、私が感じたと同じ効果は、きっと出ないでしょう。正確に言えば、効果がその人にとって良い方に、どの程度現れるかどうかは、誰にも保障はできない、ということです。同じシステムであっても当然使う人によって環境や感性が違うでしょうから。
これから進める、システム構築シリーズにおける私の判断や感想、意見は、すべてそのことを前提にしています。
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