村正試作1号」製作記
… by K.I.

開店編〜T アートクルー ●3

B&W804と自作スピーカー

アートクルーでは、(当たり前でしょうけど)試聴に時間をたっぷりかけることができました。実はあまりそういう経験をしてなかったので、大事なタイミングでオーディオの音にじっくり触れることができました。

それと、私は初めから自分のお気に入りCDを持参しましたが、仮にCDを忘れてきても、アートクルーにはいろんなジャンルのCDがたくさん置いてあるから、とても助かりました。気に入ったら買うことができるCDも豊富。こういう点は、私のような初心者にはありがたいことです。

ところで、TERAをメインにして、私は松岡さんのお薦めに従って、B&W804の音を、じっくり聴いてみることにしました。自作した3ウェイスピーカの音と比較するためでした。これには理由があって、 松岡さんによれば、バランスの良いスピーカーの音を聴くことで、より正確な基準がわかる、ということでした。


画像:http://www.marantz.co.jp/bw/より引用

上記画像はB&W  Nautilus 803です。※1

確かに、聴いていると、804は素直で開放的ないい音だ、という印象でした。ただ、自作のスピーカとは性質が違う気もするし、どうもいまひとつ、自作のどの部分がおかしい、とは、はっきりとわかりませんでした。

もし、『804は有名メーカーの製品だから音が良くてあたりまえ、自作スピーカーとは当然差があるものだ。』と考えるのであれば、話はそれまでです。でも、804って、そんなに超高級品、という価格のものではありません。冒険して買ったドライバーだって、ウッドホーンだって、それなりの価格だったのです。しかも自作の方は30cmのウーファー使用なので、もっとすごい音がしても良さそうなのですが・・・どうも、おかしい。
アートクルーに行って804を聴いて帰るたびに、そんな気がしてくるのでした。

アートクルーで聴く804は生き生きしているのに、自作スピーカーは一皮剥けない。そんな違和感が気持ち悪い。
と、ちょうどピタリのタイミングで、

「(自作)スピーカーをここで試聴してみますか?」

これで「いやです」なんて言ったら、『空白の10年』は何のためにあったのか。
こうして、予想もしていなかった、アートクルーに自作スピーカを持ち込んでの試聴という、急な展開になったのでした。

※1 B&W Nautilus 804と803はサイズは違いますが、外見は全く変わらないので、クリアな画像の入手できたNautilus 803を掲載しました。
… by 管理人

自作の3ウェイスピーカー、その実態

前にも書きましたが、マイ・スピーカーをネットワークでつなげる際、計算通りに音がつながるはずが、全く機能しなくて、ウーファーとドライバーがそれぞれ勝手になっているような状態でまともな音がしなかったので、私は、ウーファーの再生帯域を広げてみました。この方が、全体の音が生き生きしてきたからです。(あまり限界近くまでカットする高域の周波数値を上げると、こんどは余計な濁った音がしてしまいます。)
結果、自分の耳で聴いて、一番気持ちよかった組み合わせで、ネットワークを組んでいました。

アートクルーにケーブルをも一緒に持ち込んで、早速、音を出してもらいました。

すぐに、異変に気づきました。ホーンから上の帯域の音が、バランスとしてとても強く突出していて、804と比べると、あきらかにおかしなバランスじゃーないですか。家ではこんなにバランスが悪いとは思わなかったのに。
しかも、帯域別にチェックするCDで聴いてみると、中域で、かなりはっきりと、音が出ていない帯域があることがわかりました。
これで、自分の耳がいかにいいかげんであったか、証明されてしまいました。

実は、この試聴、私にとってはかなり恥ずかしい思いを我慢して、行ったものでした。試作機ということもあり、かなり雑に仕上げていたし、木工上のミスも、一目瞭然です。しかも、ネットワークの結線は、仮とはいってもきたないし、一部線が剥き出しになっていた箇所もありましたから。第一、音やバランスがむちゃくちゃだったら、それはそれで、恥ずかしい。
今思うと、初めての自作なんだから、うまくいかなくて当たり前なんですが、それでも、『プロ』に、素人の工作を見せるのには、少し抵抗がありました。

が、これだけでたらめなバランスがわかってしまった以上、放っておくわけにはいきません。
もしここで、アートクルーのスタッフが、「バランス悪いですね」と指摘するだけだったら、私は数ヶ月かけて作ったマイ・スピーカを持ち込んだことを、心底後悔していたでしょう。

でも当然、この話には続きがあります。アートクルーのスタッフが、「良くないですね」で、終わるはずはないのです。

ネットワークを、根本的に見直すことになりました。で、私はこの際、ネットワークに関する判断の一切をアートクルーにおまかせすることにしました。試聴の時から、アートクルーは真剣だったからです。

ほどなくして、ネットワークの案が提示され、部品を購入することになりました。
ここで、現在の村正試作1号(このときまだ名前はありません)の音質にとって、決定的な影響を与えている、二種類の、あるパーツが投入されることになるのです。

・・・が、それはまた、別の話。(続)