KEF Reference Model 203


画像:http://www.kef.com/より引用

あらゆるジャンルに対応する”しなやかさ”

Reference 203を試聴して、まず最初に感じたのはその音の自然さだ 。全てのユニットが自社生産しているものだけあって、全音域を通しての音の繋がりが非常に良く、とても自然な感じがとても気持ちいい。
そして、淀みの無い、とてもクリアな感覚がある少し柔らかめな音が、とても耳に心地よい。柔らかめの音とはいっても、しっかりした芯のある音なのでタイトな音もいい感じ。これは、けっこう色々なジャンルの音楽を楽しませてくれそうだ。

ということで、クラシック、ジャズ、ロック、ポップス、民俗音楽等など、様々なジャンルの音楽をこのスピーカーで聴いてみたのが、ホント、実に気持ちいい。 何というか、とても”しなやか”なのだ。「柔良く剛を制す 」といったとことか。あらゆるジャンルの音楽をしなやかに受け止めて、実に心地よい感じで耳に届けてくれる。

では逆に、「この203が最も得意とするジャンルの音楽は?」ということになると、答えに窮してしまう。
多分、どちらかというと綺麗な感じの音が中心の音楽が得意だと思うのだが、手放しで絶賛できるほどの美しさでもない。例えば、B&WのNautilusシリーズほどにクラシックを華麗に聴かせてくれるでもない。ましてや、JBLのスタジオモニターシリーズのようにジャズやロックを熱く聴かせてくれるわけがない。

結論として、 このスピーカーでは全てのジャンルの音楽において、その音楽の魅力を”最高以上”に引き出すことは難しい と思った。今まで「オールラウンド」と評されたスピーカーがそうだったように、 この203も残念ながら、不得意なジャンルの音楽が無いと同時に、得意なジャンルの音楽も無いという状況に陥ってしまっているのではないだろうか。

しかし、この203がしなやかに聴かせてくれる音の気持ちよさは、何が得意だとか不得意だとか、そんな細かいことを忘れてしまうくらいの魅力を持っている。
このスピーカーの音には、様々なジャンルの音楽を気持ちよく聴いて欲しいという気持ちが溢れている。そんな、この音が持つ”ヒトに優しい”主張は多くの人達を魅了し、このスピーカーと長く付き合ってみたいと心を駆り立てるだろう。

本当にいいスピーカーだ。

リビングルームに理想的なスピーカー

このスピーカーには、もう一つ特筆すべき点がある。それは、リスニングポイントがとても広いということだ。

常識だが、(2ch)スピーカーというものは、その左右スピーカー間のちょうど中心の位置が最適なリスニングポイントで、そこから外れてに従って音のバランスが崩れてゆく。それも 、けっこう顕著に崩れてゆく。シビアなものになると、中心から頭ひとつずれただけで何とも不自然な音像になってしまうスピーカーもある。

しかしこの203は、最適なリスニングポイントから外れていっても、音のバランスが他の一般的なスピーカーと比べて非常に崩れにくい。最悪、リスニングポイントが左右スピーカー間からまったく外れてしまったとしても、 もちろんステレオでは無くなるが、けっこう違和感 の無い感じで聴くことができるくらいだ。これは凄いことだと僕は思う。

リスニングポイントを選ばずに、あらゆるジャンルの音楽を気持ちよく聴かせてくれる。多分、リビングルームのようなところに置くのに理想的なスピーカーというのは、このReference model 203のようなものではないだろうか。(了)